Bousou - Honey.
!!! R-18 !!!
裏/ゴリバレ後/付き合っていない二人
カラダから始まる二人の話
というのはタイトル詐欺で口と手しかありません
におうだちする英雄の大剣を旅芸人がかばうする話
それは、昔からの癖のようなものだ。もはや体質と言い換えても良いかもしれない。
――言い換えたところで、それが悪癖以外の何者でもないことは変わりようがないのだが。
「……っ」
そして、今日もまた。
「また?」
「……ああ」
勇者一行、と呼ばれる七人は鬱蒼とした森の中にいた。視界が悪い中襲い掛かってくる赤い目の魔物たちを、ちょうどすべて撃退したところだ。
そこで、不意にグレイグが膝をついた。彼と背中合わせのように戦っていたシルビアがかけた声は、しかし彼の不調を心配する声音ではなく、呆れたような声。
またか、という問いに、グレイグは問いかけたシルビアの顔も見上げずに頷く。はあ、と大げさなため息が降ってきた。グレイグは、何か言葉を繋げるべきだろうかと考える。謝るべきだろうかと。しかし、こちらへと走ってくる足音を耳にし、二人は口をつぐんだ。
「シルビア、グレイグ」
「あら、イレブンちゃん」
足音は少し離れたところで立ち止まり、俯くグレイグにはその靴の先しか見えない。シルビアは明るい声で靴の主に呼びかけた。
「安心して、こっちもちゃんと片付けたから」
「うん、こっちも終わったよ。でも……」
途切れる言葉に、イレブンの不安そうな視線を感じる。だが、グレイグは顔を上げることができなかった。
代わりに、傍らでシルビアが動く気配がする。
「だーいじょうぶ! この人のはいつもの――めまいよ。昨日も格好つけて、干し肉を遠慮してたでしょ? この図体の大きさだもの、やっぱり足りないのよ」
ぱしん、という軽い音の割に重い力で肩を叩かれ、グレイグはぐっと呻く。
「おい、ゴリア――」
「グレイグ」
確かに昨日、グレイグは干し肉を遠慮した。したが、別に足りなかったからではないのだが。昼に多く食べたので腹が減っていなかっただけだ。適当すぎるシルビアの言い訳に抗議しようとするグレイグの言葉に、しかしイレブンが割り入ってきた。
「さっきカミュがウサギを何羽か獲ったんだ。だから、今日の夕飯はいっぱい食べてね」
「……ああ、助かる」
「それに、保存食だってまだまだ充分に残ってるんだよ。足りる分だけちゃんと食べていいんだからね。グレイグだって仲間なんだから」
「…………ああ、ありがとう」
シルビアの適当な言い訳を信じ込んだ無垢な勇者に、誰が野暮を申せるというものか。グレイグは言葉を飲み込んで頷くしかなかった。
これでグレイグのレッテルは「備蓄食料はまだ充分にある中、格好をつけて自身の取り分を遠慮した結果、腹が減って動けなくなった間抜け」
だ。
――それも、本当の理由に比べればマシなのかもしれないが。
「イレブンちゃん、この人まだ動けないみたいだから先に行っててくれる? 少ししたら追いかけるわ」
「わかった、先のキャンプで待ってる。二人とも気をつけてね」
「はーい、ありがとねーん!」
イレブンの靴先がくるりと方向転換して、走り出した。どうやら離れたところにカミュたちもいるらしい。駆け足の足音が遠ざかりながら速度を緩めると、他いくつかの足音と混ざっていった。
――イレブン、おっさんどうしたって? うん、お腹が空いて目眩を起こしちゃったみたいだって。まあ、それでは今日のご飯はちゃんと食べて頂きませんと。今日はカミュの成果があるから安心じゃのう。メニューは何にしましょうか、私はただ焼いただけでもいいけど……――。
「……」
足音と声は遠ざかっていく。
グレイグ、と小さな声で名を呼ばれた。
「イレブンちゃんたち、行ったわ」
先程までイレブンに向けていた明るい声とは違う、少し呆れたような低い声。もちろん、まだ傍らに残ってくれているシルビアの声だ。
「ここは道よ。こんな情勢だもの、誰も通らないとは思うけど、見られるリスクは減らした方がいいわ。向こうへ行きましょ」
「う、うむ」
「立てないのはわかってるけど早くして。イレブンちゃんたちが戻ってきちゃったらどうするの」
急き立てられ、グレイグはのろのろと立ち上がった。だが真っすぐには立てず、背を丸めて前のめりになるしかない。
何故ならサーコートの裾に隠れたある一部分が。裾を押し上げてテントを貼るがごとく堂々と屹立してしまっているからである。
「全く……。いい加減我慢できるようにしなさいよ」
「生理現象だ! ……できるものなら俺だって、我慢したい」
立派なテントを一瞥し、シルビアがため息をつく。グレイグは言い返すがその声に力はなかった。
シルビアはグレイグの手を引き、道を外れて奥へと向かう。右手で掴まれた右手。後ろからではシルビアの顔は見えず、手を引かれるままグレイグは小股でその後を追いかけた。
ごそごそと草を踏み荒らし、道からはどんどん離れていく。どうやら魔物はいないようだ。この辺りの敵はそう弱くはないから、もし出会ってしまえば二人ではキツいかもしれない。しかも片方は状態異常。それもあってシルビアは急いでいるのだ。
木々が邪魔して道が見えなくなるまで進んだところで適当な太さの木を見つけ、シルビアは足を止めた。
「ゴリアテ、虫が」
「我慢なさい」
指示されるままにその木に寄りかかったグレイグは、足元を慌てて逃げていく小虫を嫌そうに見た。その場に躊躇なくシルビアが跪くのも。
彼は手慣れた様子でグレイグのサーコートの裾を払い、下肢を覆う衣服を必要なだけずり下げる。
「ふ……」
――途端に広がる、雄の香り。
ボロン、と音でも立てそうな勢いでこぼれだしたのは、とてつもなく立派な凶器だ。正に、デルカダールの英雄と呼ぶに相応しい。ごつごつと浮かぶ血管、見るからに硬い幹、張ったカリ首と堂々剥けた先端。小さめの酒瓶ほどはありそうな、存在感抜群の一物である。
それが硬く張り詰め、ぬらつく先端と下着の間に透明な糸を引かせているのだから、「いやらしい」を通り越して一種の神聖な芸術のようにさえ見えた。
「相変わらずもの凄いわねえ……」
まじまじと見つめる視線に込められているものが同じ男としての感嘆なのか、それともおとめとしての何かしらの感情なのか、グレイグには判断がつかない。わかるのは、太陽光の下にさらされたものは細部までとてもよく見えるだろうということ。それから、上からでは長いまつげに隠れて見えない綺麗な色の瞳に今、この肉色の凶器が映っているのだと言うことだ。
「……いいから、早くしてくれ」
「はいはい」
呆れたように苦笑して頷いたシルビアは、片手をグレイグの太ももに添えた。そして空いた片手は、目の前の雄へ。少し冷たい、滑らかな感触。
「っ……」
「それじゃ、するわよ?」
にっこりと笑ったシルビアが大きく口を開く。
自身の雄がその口に頬張られるのを、グレイグは息を詰めて見つめていた。
:
<中略>
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シルビアの口での「手伝い」は、はっきり言って下手だった。技巧も何もなく舌を這わせたり、咥え込んで頭を振っても歯があたったり。
だが回数を重ねるにつれて少しずつ上達してきたし、息苦しさにえずいて涙目になりながらも続けてくれる、ひたむきさがあった。それこそ、手淫してくれたときに彼自身の言った初心な女のような。
手淫はどうやら手慣れていたように見えるけれど、こちらは本当に慣れていないのだ。
「――んっ」
不意にびくっと体を震わせ、慌てたようにシルビアがグレイグの雄を吐き出した。そしてげほげほとむせる。どうやら深く咥えすぎて喉を突いてしまったらしい。
「平気か?」
「ん、だいじょうぶ。続けるわね」
今度は慎重に浅く咥え、幹や玉を手で刺激する方法に切り替えたらしい。ぐちゅぐちゅと音を立て慣れたように上下する手の圧迫感と、カリ裏や先端をチロチロくすぐる舌の動きが、グレイグを的確に高みへと導いてくれる。
徐々に角度をつけ硬化し、身を更に膨らます雄。その先端を咥えたままちらりとシルビアが目線を送ってきた。背後の木に体重を預けたグレイグは、小さく頷く。シルビアの後頭部へそっと手を添えれば、彼は目元だけで薄く微笑んだように見えた。
「すー、はー……、ん、っ」
そして唇と雄の隙間から器用に深呼吸すると雄の根本をしっかりと握り、シルビアはまた深く咥え込んだ。喉まで開き、長大な幹を根本まで口内に収める。苦しげに眉間にしわをよせながらもゆっくり頭を引き、先端にキスするが如く引き抜いてまた咥え込み。ぐぽ、ぐぽ、と卑猥な音が響く。
「くっ……」
見下ろすグレイグからは、揺れる黒い髪と、唾液に濡れその唇を巻き込み捲りあげながら出入りする自身の雄しか見えない。長いまつげに隠れて、シルビアがどんな表情をしているのかは見えないのだった。
反射的に溢れた唾液で満たされた彼の口内は温く、一番奥まで咥え込まれたときの喉の輪の窮屈さもたまらない。襲い来る快楽に逆らわず、グレイグは軽く腰を振った。自身の思うのと違うタイミングで喉を突かれ、シルビアが動きを止めた。ぐぅとひしゃげたような音を発し、喉と舌が抗議するように痙攣しながら締め付け押し返してくる。だがそれすら、グレイグにとっては快楽の後押しでしかない。
絶頂が近い。せめてと引こうとした腰は、いつの間にか太ももに巻き付いていたシルビアの腕に阻まれる。涙目になりながらも、彼はしてやったりと見上げる目だけで笑うのだ。
「……っ」
そして今日もグレイグは逃げそこねて、その口の中にたっぷり発射させられるハメになる。
シルビアは別に、フェラチオをするのが好きというわけではないはずだ。単に、グレイグをイかせて楽しんでいるようにしか見えない。いつかの「言葉責め」
の延長線なのだ。
濡れた唇から、ちゅるん、と萎えた雄が引き出された。一瞬だけ、唇と雄の間に透明な糸がかかる。シルビアは口を手で押さえ、膨らんだ頬の中のものを少しずつ飲み下していった。平らになっていく頬にそっと手を伸ばせば、シルビアは楽しそうに微笑んだ。
「――はい、ごちそうさま」
ぱかりと開いてみせる口の中には、グレイグの注いだものはほとんど残っていない。まるで商売女のような過剰なサービスに、グレイグは仏頂面を浮かべて水を渡すことで答えてやった。
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